すだまの足跡

技術と社会を考えたい理系大学院生が残したいつかの足跡。

The World Is Open: オープンイノベーションって何ぞや

最近ビジネス系の本を電車内でよく読むので、だんだん「新たな価値の創造!」とか「イノベーションの創出!」みたいな言葉にも慣れてきました。今回は昨今流行りのオープンイノベーションについて書き留めたいと思います。

 

オープンイノベーションって言葉を耳にする機会が多いと感じます。私の専攻は物理化学なのですが、化学系メーカーでもオープンイノベーションを謳った取り組みを加速させているところが多いです。また、国内VCやその他のコミュニティ等でも、大企業に向けたオープンイノベーションコンサルを手掛けている例を聞きます。

 

そもそもオープンイノベーションって何なの、ってあたりから自分の場合は始まるのですが、企業が社内だけでなく社外とも積極的にネットワークを張り、企業の枠を越えた情報・知的財産の行き来と通して新しい価値を生み出そう、というパラダイムをオープンイノベーションと言うそうです。HBSの教授だったヘンリー・チェスブロウ教授が先駆的な提唱者として有名です。経営戦略論としては割と最先端にあたるものです。

 

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上の本によれば、オープンイノベーションモデルは、従来の、優秀な研究者を囲い込み、自社の中央研究所で新しい技術を開発させるクローズドイノベーションモデルとは大きく異なります。これまで補完的な役割を果たすのみと見なされてきた社外の知識が、オープンイノベーション理論においては、社内の知識と同等の役割を果たすようになるからです。

 

そこでは企業は、自分にとって使い道のない情報を社外へと公開し、さもなくば抽斗の奥に眠ったままだった技術の活用法を探ったり、あるいは逆に自社で必要な技術や、製造販売のための補完資産などを外から調達することで、単独では達成できない大きな価値を創造することができるようになると考えられています。

 

また、ここで一段と存在感を発揮し始めるのが技術系スタートアップ企業たちです。既存企業にとって魅力的と映るコア技術さえあれば、それを製品として世に送り出すために必要な補完資産を、オープンイノベーションの取り組みを通して既存企業に頼ることができるからです。強力な知財を持っているのであれば、単にそれをライセンスアウトしてしまう選択肢もあります(製薬系に多い?)。また、大企業自身もアクセラプログラムを開催したりしてコンタクトを積極的に取っています。

 

というあたりで、気になることが2つあります。

一つは、クリステンセンらのイノベーション理論における「モジュール化」の概念との関係。もう一つは、オープンイノベーションモデルにおける大学の立ち位置です。これらについてはまた別の記事で。

 

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参考:

ヘンリー・チェスブロウ他著(2008)『オープンイノベーション英治出版