すだまの足跡

技術と社会を考えたい理系大学院生が残したいつかの足跡。

物忘れ

記憶力がない。

 

人の構成分子は一定周期で入れ替わるというが、それと一緒に記憶も捨て去られているのではないかと疑う勢いだ。「非使用のAppを取り除く」機能をオンにしたiPhoneに似て、奴はぼくが眼を放している隙に地図からLINEからどんどん削除していくから恐ろしく、ぼくの長期記憶の欠如もまた恐ろしい。そう設定した覚えはないが、我が脳は少し使わない知識があるだけで「こいつはいらない」と即断し、葬るようになったらしい。後で必要となって困り、小言の一つ言いたくなるが、自分の脳に文句を言ってもしようがない気もする。

 

インターネットに情報があふれるこの時代、「歩く辞書」タイプの賢さは影を薄め、忘却の価値を再評価する声もあったりするが、そうはいってもやはり、自身の中にある程度情報をため込んでいないとそれを調理することすらままならず、人間とインターネットはまだ直接接続されておらず、また過度な忘却は、自分の生きる時間幅を狭めることにもつながるし、なによりまず不便だ。本など読んでいても、頑張って読破した数か月後にほとんど内容が残っていなければ、何のために読んでいるのかと言われて首をひねるより他ない。失われていくものたちへの受け皿が欲しい。

 

そこで、文章を書く練習がてら日々考えたことを書き留めてバックアップとし、後からその軌跡を眺められるようにする目的でブログを作ってみた。書くことで、何か形になるものがあると思うのだが、はたしてどうか。