すだまの足跡

技術と社会を考えたい理系大学院生が残したいつかの足跡。

研究フロー再考

先日僕の研究分野の若手の会夏の学校に参加してきました。

集中講義形式で行われ、基本は先生の講義を一日中受けるようなスケジュールでしたが、ポスター発表の時間もあり、他大学の学生と議論することができました。自分と近い分野からも多くの学生が参加していて、普段は得られない刺激をたくさんもらいました。

 

と同時に、自分の研究の進め方にある種の危機感を感じました。前々から薄々感づいていたのですがこの機会に少しメモ。

 

 

 研究に限らず問題解決の際の一般論として、以下の段階に沿って進めていくのが理想だと思います。

 

①問題を明確に設定する

②その問題を解決するための手段を考える

③実際に行動する

④結果を分析して、必要に応じて手段を修正する

 

これを研究に当てはめるとどうなるか。

①では、自分の研究分野の今の状況はどうか、何が調べられていないのか、それを研究することにどんな意義があるのか、そういう土台をまず明らかにします。私見ですが、ここが一番重要です。

もちろん "Research is what I'm doing when I don't know what I'm doing" と言う人もいらっしゃるわけで、そういう哲学に染まることができれば幸せだとも思いますが、実際のところ、「どういう研究をしているのですか?」と聞かれて「俺も知らん」と答えてしまうと、初手から碁盤をひっくり返すような身も蓋もなさを感じたりするわけです。

 

というのは話がやや逸れました。さて、①で設定した目的に対し、②では、それを達成する実験方法を考えます。あくまで目的が先に立つべきであって、実験手法は手法に過ぎないという事です。

 

ここまでくれば後は単純で(というと各方面から怒られそうですが)、③実験を行って、④結果を解析します。解析結果が目的を見事達成していれば万歳、あるいは達成していなければ②に立ち戻り、手法の改善を検討するということになります。

 

理想論ですが、このループがまわることで進んでいくのが研究だ、というのが個人的な妄想です。

 

 

僕の場合は少々ミスりました。まず研究室に配属されて、とにかく研究を始めたかった僕は、スタッフに頼みこんでさっそく実験を始めました。しかし特に「あれこれを調べたい!」とかいう目的があったわけでなく、「とりあえず始めてみれば分かるだろう」的なノリでしたが、結果的に上でいうところのステップ①を華麗に飛ばしていました。

 

まあそういう特定の興味が無くても、実験室には既存の装置がたくさんあり、教授から何となく言い渡された研究対象の分子も念頭にあったため、何かしらすることはできました。というわけで、スタッフの方に提案されるがままに実験を行った結果、夏ごろにはある程度の実験結果が出始めていました。

 

結果が出たので解析を進めました。ところが僕はそもそも何か問題意識があって実験を始めたわけではなかったので、解析自体も散漫にならざるを得ず、逆に得られた結果から何か面白いことが見つからないか、虱潰しに探し回る羽目になりました。結果に対する意義なども大体後付けで、自信をもって言える類のものではありませんでした。

 

その後、 一応のところ卒業研究としてまとめられるところまで行ったのは良いのですが、そこから先の構想が途絶えました。ここで、現在地との参照とするべき研究目標が無かったのが致命的で、その後どちらに行けばいいのか分からず、今の研究にマイナーチェンジを加えることくらいしか思いつきませんでした。

 

つまり、僕は本来

①→②→③→④(→②→③→・・・)

と回すべき サイクルを

②→③→④→①(→×)

 と倒置してしまった格好になります。

 

もし研究を始める最初期の段階から①自分の研究の意義と目標を明らかにすることができていれば、それに応じて研究手法を改善していくフィードバックループを回せたはずです。ところが、研究過程が逆転してしまうと、結果が出てもその評価の基準とすべき参照点が無く、ちょっと面白そうな事実を摘まみとってそこでデッドエンドで、発展性がありません。

 

そんなわけで僕はこの数か月、研究に関して行き止まりにぶち当たった状態で、これが研究への情熱を失ってしまった原因(の一つ)だというのが、今感じているところです。

 

一番の問題点は、自分の頭で考えて研究をしてこなかったことでしょうか。今まで何となくで過ごしてきてしまいましたが、ここでもう一度研究のやり方を考える必要があるでしょう。夏の学校に来ていた先生方の一人から、「院生時代に自分自身の研究をしようと思った時、最初の数か月間は図書館にこもって論文を読み漁っていた」という話を聞きました。そのくらいすれば、分野の中で自分の進むべき方向が見えるようになるかもしれません。あとはやる気ぃ・・・ですかねぇ・・・。

 

千里の道も一歩から、まあ気楽に踏みしめます。